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原生種、あるいは原生種に近い花たちのお話です

原生種の花たちは、豪華でなくても、小ぶりでも、改良品種には決して見られない鮮烈な美しさに満ちています。
店にあふれる花。それらのほとんどが、改良を重ねられたもの。そこにも深く多彩な花の世界があります。でも、それらの花には必ず元になった原生種があります。 その清々しい姿、形色、香りは、悠久の時間と風土が生みだした、かけがえのない野生の輝きなのです。

 
5.ガクアジサイ  額紫陽花  
●wild data
花季 6〜7月 原産地:日本(関東地方、伊豆地方の海岸沿い)
ユキノシタ科
ガクアジサイが紫陽花の原種

アジサイが日本原産の花だったって知っていました?
以前、私はヨーロッパからきた花だと思っていました。だって、あの鮮やかなブルー。しかも一輪一輪は小さいけれど、あの大きさ。日本の花で、ブルーといえば、ツユクサや雑草で小さな小さな花をつけるものや、りんどうとか、野ギクとか、わりあい、清楚なものが多いでしょ。

少し前までは、店頭に並ぶのは毬のように咲くあじさいのほうが多く、おとなしいガクアジサイは少なかった。そのためか、ガクアジサイのほうが、新しい改良品種かと思っていたら、どっこい、ガクアジサイこそが原種だったのです。
毬タイプも多彩で美しいけれど風雅、気品という点では、やはりガクアジサイです。外側に数少なく、円を描くようにスッと咲く花。その内側にたくさんついている小さな花は花ではなく、雄しべと退化した雌しべなんですって。 
お滝さんが、学名<otakusa>になった
さて、シーボルトが日本にいたとき、アジサイを気に入り、愛人だったお滝さんの名前をとってオタクサ(otakusa)と名づけたのは有名なお話で、それがそのまま学名になったんですって。
紫陽花は日本でも品種改良がかなり行われてきましたが、18世紀頃から何度もフランスやイギリスに連れていかれ、様々な改良品種が誕生。最近では、レースのような花や、縁がぎざぎざのものも。さらに淡いグリーンとピンクとワインレッドが混じって咲く、モダンで大人っぽいものも。
ピラミッドアジサイというのもあって(白と紅)、文字どおり三角錐状に咲く。これもヨーロッパの改良品種かと思っていたら、なんとミナヅキの和名をもつ、レッキとした日本の純粋種でした。
 
参考文献
「花と日本人」(中野進著)「江戸時代の自然」(青木宏一郎著)
「花ことば」(春山行夫)「新日本植物図鑑」(牧野富太郎著)
「香りのバラ」(桐原春子著)ほか
 
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