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(その8)トリュフ
 
類いまれな鮮烈で蠱惑的な芳香
11月は、待ちに待ったトリュフシーズンの開幕だ。フランス料理を何倍も香り高く仕立て上げてくれるトリュフは、セイヨウショウロ科のキノコ。ジャガイモのように黒くズングリとしていて、およそキノコとは思えない形をしているが、その香りは、私たち日本人が知っているキノコとは、まるで質が異なる。とりわけ採れたてのそれは、鮮烈で蠱惑的ともいえる芳香を放つ。
 
トリュフの狩人は豚や犬
以前、南仏のペリゴール、リシュランシュなどの町と並んでトリュフの郷として名高いカオールの町へ出かけ、トリュフの帝王と呼ばれるベペール氏に念願のトリュフ狩りに同行させてもらったことがあった。
トリュフは、なぜか6500万年も前の古い土壌を好み、山奥の柏やはしばみの樹のかたわらの地中の中で育つ。そのユニークな収穫法はよく知られているが、地上からは姿が見えないため、雌豚や訓練した犬たちに探させる。ちなみになぜ雌豚かというと、トリュフの香りが雄豚のフェロモンのそれに似ているからという。
トリュフ狩りの名人が、見当をつけた場所で、豚や犬を放つと、豚は5分くらい、犬だと早いときはものの1分くらいで、発見。掘りたてのその香りは強烈で、日本に輸入されているものの数倍といいたいくらいだ。
ちなみにトリュフの香りや成分には催淫効果もあるといわれる。ルイ王朝の王たちもそんな効果に期待してのことだったのか、フランス革命でベルサイユ宮殿が陥落したとき、棚一杯に秘匿されていたトリュフが発見されたという。
 
暖炉の灰で焼いた「トリュフの丸焼き」
 レストランなどでは、一般的にスライスして使われることは多いが、これまでで私が最も感激したのは、前述のベペール氏のお宅でご馳走になったトリュフの丸焼きだ。それは、トリュフにシャンパンを振りかけ、丸ごとアルミホイルで包み、暖炉の灰に入れて焼いたものだった。
ホイルを開くと部屋中に香りがあふれ、奥深く豊潤な味わいに時を忘れた。
11月から3月のシーズン中は、パリなど都市部のレストランでは、トリュフ・スペシャリテ(特別メニュー)を提供するところも少なくない。
最近は、日本でも新鮮なトリフが手に入るようになり、11月に入ると多くのフランス料理店ではトリュフ料理がメニューを賑わす。高級スーパーの店頭でも見かけるようになった。「食卓のダイヤモンド」、「黒い真珠」など称えられてきたトリュフ。ぜひフレッシュトリュフの魅力に酔ってほしい。

 

(その1)金華ハム

(その2)フカヒレスープ

(その3)淡水エビのトムヤンクン

(その4)バルサミコ

(その5)キャビア

(その6)凍頂烏龍

(その7)ウオッシュタイプのチーズ

 

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